
灘五郷、日本酒の伝統に迫る
2025年5月2日
宿泊プラン
酒造りの先駆者 魚崎郷・櫻正宗
昨年末、ユネスコ無形文化遺産にも登録された日本の「伝統的酒造り」。兵庫の酒造りといえば灘五郷が有名です。今回は当館の唎酒師西川が蔵元を訪ね、室町・江戸時代から日本一の酒どころとして栄えてきた灘の日本酒に迫ります。
酒造りの伝統や文化を探るために訪れたのは、灘で古くから親しまれてきた酒造「櫻正宗」。1625年創醸、400年の歴史を誇る櫻正宗は、日本酒を語る上で重要な酒蔵のひとつです。例えば、伝統的酒造りに欠かせない酵母。多くの日本酒が日本醸造協会の頒布する清酒酵母「協会酵母」を用いて造られていますが、協会一号として全国に頒布されたのが櫻正宗の酒造場から収集された酵母です。戦争による混乱などにより昭和10年を最後に各地の蔵から姿を消した一号酵母ですが、近年、協会に保存されていたことが判明。約60年の時を経て櫻正宗の蔵にて復活しました。現在はまだ株が少ないこともあり、一号酵母を使っているのは櫻正宗をはじめごくわずか。蔵では本醸造・純米・純米大吟醸の限られたお酒でのみ使用されています。また、灘の酒造りに欠かせない宮水を、最初に酒造りに使い始めた蔵元も櫻正宗。当時は宮水を牛の背に乗せ、西宮から神戸の魚崎まで運んでいたそうです。
伝統を大切にしながらも、最新の科学技術を取り入れ進化を続ける酒造り。櫻正宗においても最新の酒造りに取り組む一方で、すべてが手造りだった400年前の酒を復活させようという試みも始まっています。米を作るところから社員が携わり、昔ながらの製法でつくりあげた「蘇百年(よみがえりひゃくねん)」は、蔵併設の施設「三杯屋」で味わうことが可能。淡麗やや辛でどんなお料理にも合う櫻正宗ですが、「蘇百年」は酸味や旨味が豊富で濃醇だそうです。当館でも櫻正宗をはじめ、さまざまな日本酒とそれに合うお料理をご用意してみなさまをお待ちしております。この夏は、伝統が息づく日本酒とお料理とのペアリングを愉しみに酒蔵を訪れてみてはいかがですか。


正宗名の発祥であり、宮水を発見した櫻正宗。日本の伝統的な酒造りを語る上で欠かせない酒蔵は、灘五郷の中心「魚崎郷」にあります。

地元の米と水にこだわる
有馬富士公園入口から福島大池に沿って25分ほど進むと、立派なかやぶき屋根の民家があります。一般に開放されており、縁側に腰掛け長閑な景色を堪能できます。

櫻正宗を気軽に愉しむ
協会一号酵母で醸した貴重な日本酒をはじめ、櫻正宗のお酒を全25種の中からお愉しみいただけます。※お酒を楽しんで飲んでいただくため、一日三杯まで。



水貝には当館オリジナルの「中の坊」を合わせてみては。鮑のミネラルと「宮水」由来の硬質なミネラル感が味の一体感を生み出します。

すき焼きの甘辛いタレと黒毛和牛の旨味にも負けない灘の銘酒「剣菱熟成酒」。力強いコクがお互いの味を引き立てます。

鱧鍋には同じく灘の「大黒正宗」を。香り控えめなキレのある後味が繊細な鱧の出汁と絶妙に絡み、上品なペアリングを奏でます。



室町で「諸白」が誕生し、江戸時代には灘や伏見が名産地になります。専門杜氏と寒造りの確立で品質が向上し、酒は幕府の重要な財源に。酒造家たちが豪商として文化を支え、日本酒の黄金期が築かれました。

西洋科学の導入で酒造りは変革します。醸造試験所の設立で微生物研究が進み、精米機などの機械化で効率が向上。その一方で、戦時中の米不足で酒造業は苦難の時代を迎えました。

高度成長期後、洋酒の台頭で消費は減少します。80年代の吟醸ブームで品質重視の流れが生まれ、技術進化が繊細な酒を実現。現代では多様化が進み、「SAKE」として世界でも評価されています。


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