開港によって栄えた六甲山の歴史を巡る
2025年9月30日
有馬歴史散歩
神戸港開港後、外国人によって拓かれた六甲山の冬の魅力。
その発祥から現在に至るまでの物語を紐解きます。
日本の近代登山の発祥地、六甲山。その歴史は1868年(明治元年)の神戸港開港後、神戸に暮らすようになった外国人たちによって拓かれました。それまでは山岳信仰の一環として行われてきた山登りですが、外国人たちは純粋なレジャーとして六甲山を登るように。1873(明治6年)には3人の外国人がピッケルなどを使って六甲山を登った記録があり、日本の近代登山の始まりと言われています。その文化をさらに発展させたのが、後に「六甲山村長」とも呼ばれるイギリス人A・H・グルームです。1895年(明治28年)に最初の別荘を建設したのを機に登山道やホテル、別荘地の形成が進みました。
こうした開拓が進む中、六甲山では冬のレジャー文化も開花。明治末期から大正期にはスキーやスケートが愉しまれ、特に北六甲の沢で見られる「氷瀑」は冬の絶景として多くの登山客を魅了しました。冬のレジャーは昭和期にも受け継がれ、1964年(昭和39年)には日本初の人工雪スキー場(現・六甲山スノーパーク)が開業します。一方、スポーツとしての登山も盛んになり、1924年(大正13年)には日本初の山岳会「RCC」(六甲クライマーズクラブ)が設立。多くのクライマーがこの地で技を磨き、日本アルプスやヒマラヤといった世界の山々へ挑戦していきました。
近年は、地球温暖化の影響で冬の冷え込みが弱まり、冬のレジャーにも変化が現れ始めています。かつてのようなスキー客は減る一方、近年の登山ブームにより冬でも六甲山を訪れる登山客は増えているそう。氷瀑については、期間こそ短くなったもののタイミングさえ合えば今でも毎年愉しむことができます。冬には氷瀑、夏には沢登り。四季を通じて愉しめることこそ六甲山の魅力。そして、何より、神戸市街地から約一時間で1,000メートル級の山に登ることができ、下山後には有馬温泉で汗を流せるというアクセスの良さこそ、時代を超えた六甲山の最大の魅力と言えるでしょう。

神戸港開港当時の六甲山

六甲山村長とも呼ばれた
アーサー・ヘスケス・グルーム
「六甲山の開祖」と称されるイギリス人実業家。明治28年に初の別荘を建て、登山道整備や別荘地開発に尽力しました。


(六甲山名勝)山上スキー場
1903年開業の神戸ゴルフ倶楽部の冬の風景。六甲山上のゴルフ場は冬場に閉鎖され、ウインタースポーツの場となっていた。写真の人々は軽装で、競技ではなく娯楽としてのスキーを楽しんでいたと思われる。
©神戸市


荘厳な氷の芸術「氷瀑」。下から見上げるその雄大な姿は、冬にしか出会えない絶景です。
※取材協力: 登山家・磯部道生さん
最新記事
-
丹波篠山に、ぬくもりを訪ねて
2025.9.30
-
一年のありがとうを大切な人へ贈る旅
2025.9.30
-
福を招く、神戸七福神詣
2025.9.30
-
展望大浴苑「雲海」の大甕
2025.9.30
-
黒毛和牛と松茸を堪能する 秋の恵みを味わう滋養旅
2025.8.1
-
思い出彩る紅葉と御朱印旅
2025.8.1
-
サウナで整う、男のひとり旅
2025.8.1
-
山田錦
2025.8.1
-
受け継がれる温泉物語 第2話 初めての温泉
2025.8.1
-
灘五郷、日本酒の伝統に迫る
2025.5.2
-
一期一会の思い出を刻む 兵庫の絶景スポット
2025.5.2
-
梅雨を愉しむおこもり旅
2025.5.2
-
伝統ある有馬温泉街に西洋文化が息づく理由
2025.5.2
-
唯一無二の勾玉型ソファ
2025.5.2
-
桜咲く武庫川渓谷廃線敷を歩く
2025.2.28
-
自分を解放する気まま女子旅
2025.2.28
-
朝食と金泉・銀泉で心身をリフレッシュ
2025.2.28
-
三兄妹の成長を祝う物語 第1話 お食い初め
2025.2.28
-
灘の酒
2025.2.28
-
淡路「三年とらふぐ」の秘密
2024.12.19
-
レトロ建築とスイーツ散策
2024.12.19
-
兵庫の梅の名所と発酵処を巡る
2024.12.19
-
有馬籠の芸術作品
2024.12.19
-
北野異人館・神戸旧居留地の歴史を巡る
2024.12.19
-
姫路城下町紅葉巡り旅
2024.10.23
-
ご利益を贈る 巡礼旅
2024.10.23
-
健康と美へ導く、温活のすすめ
2024.10.23
-
時代と共に進化するホテル
2024.10.23
-
淡路3年トラフグ
2024.10.23
-
文化遺産を巡るドライブ旅
2024.8.11
-
絶品「神戸ビーフ」の秘密
2024.8.11
-
北館リニューアル
2024.8.11
-
アリマウマノスズクサの壁紙
2024.8.12
-
彫刻家・新谷英子氏作の太閤秀吉像とねね像
2024.8.12
-
兵庫の清流散歩
2024.5.17
-
親孝行の有馬温泉旅
2024.5.17
-
梅雨の情緒美を愛でる旅
2024.5.17
-
淡路・沼島の鱧
2024.5.16
-
一夏の思い出を、一生の思い出に
2024.5.16
-
兵庫五国の春を味わう
2024.3.11
-
甘い誘惑、いちごの楽園へ
2024.3.11
-
兵庫、桜絶景旅
2024.3.11
-
料理を飾る特注器
2024.3.7
-
ねねを連れ有馬へ通った本当の理由
2024.3.7
-
冬の絶景 六甲山の氷瀑
2024.1.11
-
城下町 出石を巡る
2024.1.11
-
旅気分を味わう特製ぽん酢
2024.1.11
-
心身の新しい整え方
2024.1.11
-
山陰の松葉ガニ
2024.1.12
-
温泉宿の愉しみ方に革新を
2024.1.12
-
心温まる、冬夜の光
2023.10.13
-
紅葉と芸術を愛でる旅
2023.10.13
-
いつまでも健康で愉しい日々を足の歪みを整え元気に歩ける日常を取り戻す
2023.10.13
-
有馬温泉、今昔史
2023.10.13
-
六甲山ハイキング
2023.8.8
-
有馬周辺を巡る家族旅
2023.8.8
-
梶木源治郎の功績を受け継ぐ有馬サイダー
2023.8.10
-
疲れを癒やす上質な眠り
2023.8.10
-
明石の紅葉鯛
2023.8.15
-
誰もが愉しめる会席へ
2023.8.15
-
唯一無二のおくどさん
2023.3.17
-
与謝野晶子が歌にした銀泉誕生の地
2023.3.17
-
気ままに巡る一人旅
2023.3.13
-
兵庫を味わう
テロワール旅2023.3.13
-
夏の有馬でゴルフ旅
2023.5.12
-
桜を愛でるドライブ旅
2023.3.13
-
梅雨が明け、夏本番
家族で楽しむ夏旅2023.5.12
-
梅雨の有馬でおこもり情緒旅
2023.5.12
-
グランバンケット森羅照明
2022.12.28
-
コロナ禍での新婚旅行
2022.12.27
-
プロポーズの翌朝
2022.12.26
-
ロビーに佇む女性像
2022.12.28
-
万葉の時代より歌人に愛された有馬の景色
2022.12.28
-
中央館シャンデリア
2022.12.28
-
中央館ロビー絨毯
2022.12.28
-
刻限は早めに
2022.12.28
-
夏は涼しく冬暖かに
2023.1.6
-
太閤秀吉も愛した有馬を巡る湯治の旅
2022.12.26
-
太閤秀吉も愛でたとされる
日暮らしの庭で錦秋を愉しむ2022.12.27
-
家族の物語を刻む場所
2023.1.6
-
小学校卒業のお祝い
2022.12.26
-
有馬の氏神様にお参りし、
清々しく夏を迎える2022.12.27
-
有馬の道は、一日にして成らず
2022.12.27
-
炭は湯の沸くように置き
2022.12.28
-
糸が織りなすアート
2022.12.28
-
花は野にあるように
2022.12.28
-
茶は服のよきように点て
2022.12.28
-
落とした思い出
2022.12.27
-
金婚式のお祝い
2022.12.26
-
雅中庵 お雛飾り
2022.12.28
-
有馬を巡る開運旅
2022.10.12
-
有馬人のみぞ知る
紅葉名所2022.10.12
-
兵庫の冬の恵みを
有馬で味わう2022.10.12
-
温泉と燗酒で温もる冬旅
2023.1.17
-
神秘の名湯
有馬温泉の謎に迫る2023.1.17
-
豊かな海が育む
立春の魚介2023.1.17
-
心身を整える
大人の癒やし旅2022.8.4
-
滋味溢れる秋の味覚
2022.8.4
-
秋月の下で大人BBQ
2022.8.4
-
新緑輝く六甲山へ
自然を愛でる癒しの旅2022.6.27
-
絶景贅沢BBQ
2022.6.27
-
麦わらダコと冷酒で
夏の風情を味わう2022.6.27
-
体と心が喜ぶ
朝食の選び方
朝食の5つのスタイル例2022.4.27
-
名門と名泉を満喫する
ゴルフ旅2022.4.27
-
農学博士に訊く、本当のおいしいとは?
農学博士×料理長 対談2022.4.27