二つの「かいせき」に宿る哲学
2026年10月7日
宿泊プラン
源流を尊び、今の旅に寄り添う
同じ「かいせき」と読む懐石と会席。懐石は濃茶をよりおいしく味わうための料理、会席は酒宴を愉しむ料理を源流とします。当館では、その成り立ちを踏まえつつ、現代の温泉旅館にふさわしい二つの食へ磨いてきました。温泉に浸かり、くつろいだ後の心と身体に、どのような料理が寄り添うべきかを考えた末のかたちです。
懐石が大切にするのは、一皿に心を向ける静かな時間です。器や盛り付けの余白、料理と料理の間までを一つの表現と捉え、素材の持ち味や料理人の技を際立たせます。対して会席は、人と料理が響き合う賑わいの時間。彩り豊かな皿を心地よいリズムで運び、料理を待つ間にも会話が弾むよう、宴の高揚をつないでいきます。
両者に共通するのは、旬の走りや名残を捉え、利休七則の「夏は涼しく、冬は暖かに」に通じる心でもてなすこと。また、伝統的な日本料理では肉を用いないことも多いなか、当館では、神戸牛をはじめ上質な和牛で知られる兵庫ならではの味をお客様にお愉しみいただきたいとの思いから、牛肉料理を献立に取り入れています。さらに「時分時」のKAISEKIでは、和食を軸に洋の技法や香り、味の変化を取り入れ、もう一つの「かいせき」として新たな愉しみ方を提案しています。伝統を今の旅人の感性へひらいていく。その進化こそ、当館が大切にする料理の哲学です。
「懐石」
余白に心を澄ませ、一皿の本質と静かに向き合う
器の景色と静かな間を生かし、素材の持ち味と料理人の技へ心を向け、一皿ずつ余韻までも心静かに深く味わっていただく料理です。
別墅 結楽 懐石 「藤口料理長に聞く」 料理の愉しみ方
前肴
ずわい蟹 蟹味噌 千枚大根 河豚 てっぴ 芽葱 ちり酢 黒毛和牛吟醸味噌漬燒
海山の恵みを少量ずつ取り合わせ、味や香り、食感に変化をつけながら一皿に。器を開けば、その時季ならではの彩りや趣が目の前に広がります。まずは目で季節の訪れを楽しみながら、これから始まる料理への期待を高めていきます。
造里
九絵 本鮪 めばち鮪赤身前肴
旬を迎えた魚介の持ち味を何より大切にし、包丁の入れ方や温度、盛り付けまでを細やかに整えます。器との調和にも心を配り、素材そのものの美しさと味わいが際立つ一皿に。コースの流れに、清らかな間を生み出します。
温肴
寒鰤 聖護院大根 あわび茸 照り焼きソース
冷たい料理の後には、温かな一皿で流れに緩やかな変化を。旬の素材に出汁や火入れを重ね、香りや温度まで味わえるよう仕立てます。器には余白を残し、一品ごとの輪郭が静かに立ち上がるよう整えます。その後の合肴はサラダ仕立てで口の中をさっぱりと整え、コースの山場となる強肴へつなぎます。
強肴
神戸牛すき煮 女鹿平舞茸 白葱 玉葱 山の芋とろろ 生卵 焼海苔 山葵
コースの山場では、兵庫ならではの神戸牛を主役に据え、満足感のある一皿へ。食材の力強さを生かしながら、薬味や添え物、量の加減まで整え、旅先の夕食として重くなりすぎない味わいに。余韻まで心地よく仕上げます。
「会席」
彩り豊かな料理を重ね、宴席の賑わいを深めていく
彩り豊かな料理を最良の頃合いで一皿ずつ供し、酒や会話とともに宴席の高揚をつなぎ、賑わいをより豊かに育てる料理です。
中央館 会席「下浦料理長に聞く」料理の愉しみ方
前肴
烏賊の唐墨和え 黒毛和牛時雨煮 丹波山芋とろろ 百合根の袱紗焼き など五種
旬の海山の恵みを彩りよく盛り込み、味や香り、食感の異なる楽しみを少しずつ。器や盛り付けにも季節感を映し、ひと目見た瞬間から心が弾む一皿を目指します。酒や会話が自然に進む、宴の始まりをつくる料理です。
造里
天然淡路鯛 明石蛸 鮪
旬の魚介を中心に、その季節ならではの鮮度と持ち味を素直に伝える一皿。前菜で広がった味わいをいったん整えながら、器やあしらいにも季節の表情を添えます。食卓の流れに清涼感を生み、次の温かな料理へ心地よくつなぎます。
温肴
ずわい蟹と胡麻豆腐の有馬湯けむり蒸し
造里の後には、蓋を開けたときに立ちのぼる湯気や香り、温もりまで愉しんでいただける温かな料理を。旬の素材を生かしつつ、味わいが重くなりすぎないよう出汁や火入れを工夫します。温泉旅館で過ごす夜にふさわしい心地よさを大切にし、宴の流れに温もりを添えます。
強肴
黒毛和牛はりはり鍋
宴の山場には、黒毛和牛などを用いた、上質な肉料理でしっかりとした満足感を。食材の魅力を存分に引き出しながら、量や味の濃淡にも心を配り、その後の食事まで心地よく愉しめる仕立てにします。賑わいの時間を豊かに締めくくる一皿です。
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